White Road

マサチューセッツ州ケンブリッジに住む理系院生の日記

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When one teaches, two learn.

今週になって、LectureのTAも合わせて新たにtrainingが始まった。タイトルはその最初に紹介された言葉で、「TAをやれば自分の勉強にもなる」ということらしい。

今日は「Active Learning」についての講義。これを取り入れながら学部生に説明せよということらしく、実施例をいくつか紹介してくれて、非常に面白かった。(その一方で、これを使って高校化学を教えてみたくなったけど…笑)

例えば、Think-Pair-Shareという方法が一般的で、次のような手順で進める。

(1)  全体に選択式の質問をし、学生それぞれに考えさせる。

(2) 答えを提示させる(このためのツールが色々あったのだが、それは後で紹介)

(3) 学生2人ずつでペアを組ませ、互いの答えを言い合って議論させる。

(4) 再度答えを提示させる。

(5) 全体で意見を共有した後、解説する。

(1)(2)は、最低一度は自分の力で考えさせ、自分の立場を明確にするためらしい(いきなりペアを組ませると、消極的な生徒は「僕もそう思ってた!」とか言って考えないため)。これも納得。

また、答えを提示させるのにはPlickersというツールを使っていた。詳細は省くが、これを使えば教官にのみ選択した答えが伝わり、周りの学生の答えはわからない。しかも電子デバイスは教官側しか必要なく、学生には紙を配るだけで良いという便利さ。

個人的には、アクティブラーニングを日本で実施するのは文化的な面から難しいと思っていた。塾で教えている時に4択の問題を出して「Aだと思う人?」みたいな感じで挙手させてみたことはあるが、やはり周りを見ながら行動してしまうため意味を感じなかった(指名して答えさせるのもあまり好きではないので、結果として完全にレクチャー形式になっていた)。しかし、こういうツールが使えるなら効果がある気がする。上の(1)(2)で完全に自分の答えを決めてから(3)に移れば、議論もスムーズに行くだろうし。

ちなみに、今日の講義での実演は「過冷却中の液体を凝固させると、温度はどうなるか?(上がる or 下がる or そのまま)」という問題だった。上がるに決まってるのに、ペアを組んだJ君にそう言うと彼は「そのまま」だと言い張って一歩も譲らない。

「専門は無機化学?だからあまり詳しくないんだね」「確かに直感的には上がるように思うかもしれないけど…」「水が沸騰するときも、温度は100℃で一定だろう?」

正しい説明をまくし立てるだけの英語力がないのが悲しかった(彼の名誉のために言っておくと、化学科の新入生全体の正答率も6割くらいだったし、正解が出た後結構謝られた)。「学部卒時点の学力は日本が一番」とか言うのを聞く度に昔の話だろうと思っていたけど、(先日の溶存酸素といい)少なくとも高校卒業時点なら日本の方がずっと強いのかもしれない。