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マサチューセッツ州ケンブリッジに住む理系院生の日記

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2017年度センター試験 化学基礎(前編)

高校化学の記事を始めます、と宣言して2週間ほど経過してしまいました。ちょうど先週末にセンター試験があったため、今年の問題の分析を書こうと思ったところです。今回は文系科目の「化学基礎」の方です。

といいつつ、書いているとかなり長くなったきたので、2回に分けることにしました。前編(この記事)では文系化学の背景的な話や一般論を中心に、後編で今年の問題の分析という形にしたいと思います。なお、問題分析関係の記事という性格上、受験生向けのHow to的な内容が多くなるかと思いますが、ご了承ください。 

そもそも「化学基礎」とは?

「化学基礎」という科目名は耳慣れない方が多いかもしれません。新課程の導入による学習指導要領の変化に伴って2015年度からセンター試験は形式が大きく変わり、化学に関しては次のような変化がありました。

 旧課程:理系・文系とも「化学I 」

 新課程:理系は「化学 」、文系は「化学基礎 」

今回は化学基礎についてのみ記しますが、「化学基礎」の範囲は広くなく、時間も30分と半分になっています。範囲に関しては細かい違いはあるものの「化学I(旧課程)の理論化学分野のみ」という理解で概ね正しいです。*1

新課程導入による「文系化学」の需要の拡大

ただ、範囲が狭まったからといって文系の生徒の負担が減ったわけではなく、かつては理科は1科目受ければ足りていたところが、多くの大学で2科目の受験を要求される形になりました。4科目から2科目を選択する際、地学はややマイナー科目で参考書が少ない(授業がない高校も)こと、化学は物理や生物といった他科目との関連が強いこと、といった要因が合わさり、従来よりもセンター試験のために化学を勉強する文系の生徒は増えました。(私がかつて教えていた塾でも、新課程の導入に際して文系化学のセンター講習が始まりました)

「化学基礎」の大きな特徴

単に範囲が狭くなっただけでなく、旧課程時代の「化学I」と比べると、

  1. 生活に関連する化学
  2. 実験操作

の2点に大きく重点がおかれているのを感じます。上で「範囲はほぼ理論化学のみ」と述べましたが、生活に関連するトピックということで、金属の製錬(鉄・アルミなど)、アスコルビン酸(酸化防止剤)といった内容が登場します。実験についても、本筋から外れるにも関わらず、物質の分離という項が特別にあり、気体の捕集法をはじめとした実験の正誤問題がセンター試験でも出題されています。

なぜ、このように違いが生まれたかというと、あくまで個人的な意見ですが、この科目が文系向けに新たに作られたものであり、科学に対する興味・関心が理系ほど高くない人たち向けの科目という意識があるからではないでしょうか。つまり、いわゆる理科離れ」の対策として「化学への興味を持たせる」ということが化学基礎の1つのテーマになっており、興味を持たせるための手法として、生活に関連するトピックや、手を動かして学べる実験について重視しているのだと思います。

どう対策すれば良い?

理系の生徒にこう聞かれたら必ず「過去問を多くやること」と答えるのですが、化学基礎は2015年にスタートしたため、追試を含めてもまだ今年の試験で6回分です。当然、この6回分をやり込むことが最優先です。化学基礎は全範囲から満遍なく出題されるように見えて、意外と頻出問題や出題傾向というのはこの3年間だけでも見て取れます。これを体で感じましょう。また、時間配分についても慣れることができます。

その他の対策としては、「化学I(旧課程)の第1問・第2問」を解くのが良いでしょう。一部範囲外で解けない問題はあるでしょうが、基本的には化学基礎の範囲が中心なので、良い練習になります。

さらに試験形式の練習がしたい場合には、大手予備校の出している予想問題などを利用することになるでしょうが、難易度設定や量に関しては本番と違うことも多いので、あくまで練習というつもりで解くとよいと思います。

問題演習以外の対策は?

教科書を読み込むことが第一ですが、もう1つおすすめなのは学習指導要領を読んでみる(長いものはこちら、1ページにまとめたものはこちら)ことです。「既にやっているよ!」という人はあまりいないと思います。笑

学習指導要領の何が良いかというと、例えば

「物質の分離・精製」については,ろ過,蒸留,抽出,再結晶及びクロマトグラフィーを扱うこと

といったように、範囲の中でどこに重点がおかれているかが、物質名や実験名まで含めてかなり具体的に書かれています。また、上で述べた「日常生活との関連を重視」「実験操作を重視」といった一般的なことも確かに強調して書かれています。範囲外と感じられるような出題がされているのも事実ですが、センター試験の頻出問題と学習指導要領で強調されるポイントはかなり共通しているので、参考になると思います。

最後に

一般的な内容を書いていた結果、今年の問題にはほとんど触れることができず、タイトル詐欺のような記事になってしまいました。具体的な頻出問題なども紹介しながら、後編では問題の分析をしたいと思います。

後編はこちら

 

sun-chemit.hatenadiary.jp

 

*1:化学Iの無機化学有機化学部分は「日常生活との関わり」や「実験操作」という要素で化学基礎に一部含まれます。