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White Road

マサチューセッツ州ケンブリッジに住む理系院生の日記

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高校化学について

高校化学

以前から時々高校化学については言及していましたが、具体的に記事を書いていこうと思います。普段の留学日記的な記事とは大きく異なる形になるので、最初に経緯を書いておきます。

経歴

自分は東京大学の学部・大学院修士課程に所属している間、都内の塾で講師として高校化学の指導を5年間強やっていました。指導の対象は進学校で主に東京大学や国公立大医学部を目指す高校2年生と3年生で、初学者から高3直前期まで様々な授業を担当してきました。また授業をするだけでなく、教材作成・傾向分析・予想問題作成といった業務にも携わっていたため、単なるアルバイトとは言えないほど、これまで受験化学とは深く関わっています。

高校化学・受験化学のイメージ

残念なことに、僕の知る限り「高校化学は暗記」というイメージが広く定着しています。これは学習者である高校生に限らず、理系大学生、さらに言えば化学を専門とする学生ですら「暗記科目」というレッテルを貼っている方はかなり多いです。

もっともこれはある程度仕方のないことで、

  1. 高校化学を暗記のイメージなしに教えるのは難しい(特に無機・有機化学
  2. ほとんどの大学における入試で、暗記だけで解ける程度の問題しか出ない

という2点が要因として大きいと思います。(もっとも、入試問題を作る大学の先生や、高校で授業をされる先生を批判するつもりはありません。知識問題中心の入試になるのは受験者の学力レベルを考慮した結果でしょう。また高校の授業科目というのは受験と切り離して考えることはできないため、入試形式が高校の指導に影響するのはやむを得ないと思います)

高校化学は面白い

一方で、東大をはじめとした一部の大学の入試問題では、驚くほど質が高く、化学の本質的な理解力・思考力を問う問題が毎年出題されています。そのような問題の多くに共通する特徴として挙げられるのは、次の3点です。

  1. 高校化学の範囲を逸脱しないが、知識の組み合わせ・応用が必要とされる
  2. 大学以降の化学や日常生活に関連する化学がテーマとなっている 
  3. 問題に「メッセージ性」がある

当然、これらを全て満たすのは容易ではありません。よくある悪問として、2を重視して大学範囲の化学などを取り入れた結果として1が疎かになり、高校生には高度すぎたり、あるいは高校範囲の知識は全く使わず誘導に乗るだけの問題になってしまったり、というものがあります。その点、特に東大では、化学への興味を引き立てるような面白いテーマの問題を毎年出題しながらも、高校生に無理な知識を要求することはほとんどありません。このような問題は、高校化学の範囲や知識という制限の中でも化学の面白さを十分に伝え、感じることができる、ということを教えてくれます。

僕のように学部時代から博士課程の現在までずっと化学を専門にしている人間でも、高校化学からは毎年新たな発見がありますし、入試問題を見て「この分野、高校範囲で説明できるのか!」と驚くこともしばしばです。

最後に

現在は留学に伴い塾で指導をすることはなくなりましたが、趣味として高校化学の研究(?)は続けているため、せっかくなので記事として書いてゆくことにしました。どのような記事を書くかは全く未定ですし、そもそも留学ブログを見る方の中にそのような需要があるかは不明ですが、少しでも上記のイメージが変わることを目指し、とりあえず始めたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。